“勝てる脳”のためのニューロトラッカー

開発者
Jocelyn Faubert(ジョスリン フォーベー)

カナダモントリオール大学 精神物理学部 教授

 

認識と注意力は、スポーツ選手がフィールドで正しい判断を行うための重要な能力です。脳内で認識に最も負荷がかかることの1つに、複数球体追跡(自分の周囲の複数の地点に注意を分散させる知覚能力。)があります。フィールドでは、周囲を動き回っている他の選手を認識し、パターンを特定し、他の選手の動きを予測し、実際の動きを瞬時に判断する必要があります。注意力は、選手が自分の精神に集中し認識を保つために使わなければならない力です。注意力の喪失は認識ミスにつながります。

ニューロトラッカーは複数球体追跡によって注意力をテストするものであり、認識と集中の基本的要素に的を絞っています。ニューロトラッカーでは選手に対し、速いスピードの中で意識を集中することを繰り返し要求して、負荷をかけます。科学的な調整プロセスを通じて、プレッシャーが最も高まる試合状況においても認識と集中力を維持できるように、能力を高めます。

空間認知力

 スポーツシーンで最も重要な脳力は、空間認知能力です。ニューロトラッカーはこの脳力を格段に高める唯一のトレーニング法です。ボールゲームでは、自分の周りの敵と味方やボールの動きを的確に把握して、対応する力が求められます。さらに、動く物体への集中を持続させることも重要です。

周辺視能力

 空間認知能力は周辺視の能力の活用です。動きが少ない場合には、脳は余裕を持って対応することができますが、動きのスピードが速くなると、脳にかかる負担は劇的に大きくなります。ダイナミックな速い動きに対応しなければならないという点がスポーツの難しさです。

予測能力

対戦相手の次の動きを予想できるかどうかは、手足の関節の角度や回転など身体のいくつ かの箇所の動きを読むことができるかどうかに大きく左右されます。つまり、これらの箇 所の変化が全体の動きにどのように関係しているかを理解できれば、相手選手の動きを予 想することができるのです。すばやい動きが要求されるスポーツの試合においては、勝ち 負けを決める能力になります。



ニューロトラッカーによる「脳の可塑性」

ニューロトラッカーは、神経可塑性という現代の神経科学理論を活用します。脳は、信じられないほどに順応性が高く、パフォーマンス要求に対して対応するために自身を変化させます。驚くほどの聴覚を持つ盲人の話をよく見聞きします。これは、脳が必要に応じて最も効率的に脳の神経系統の配線を再編成するからです。ニューロトラッカーは脳に動きの追跡や注意の集中(認識と集中力の重要な要素)を反復して行わせることで、脳の神経網を再編成し効率的に作用するようにします。